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医局日誌
〜Doctor's column〜

Episode 7:骨折

大学病院勤務中に右足を骨折したことがある。なんでもないアスファルトの路上でヒールを踏み外し骨折した。当然ギブスを巻いて松葉杖だったが、そんな中オペ室に入らなきゃならなかった。松葉杖は滅菌できないので入室禁止。
というわけでけんけんでいざ出陣。だが、もともとオペというものは、滅菌を非常に重んじているので、一度手を洗ったらどこにも触れてはいけなく、よってドアも水道も洗剤も足で操作できるものばかりだった。今では軽く手をかざすだけで済むシステムになっているが。さぁ大変。部屋に入るにも誰かが通るのを狙ってまたは待って、けんけんでGO~!水道の水を出してもらうまではいいが、止められない。

そこらじゅうの先生や看護婦さんに声かけをしてやっとこ止水。口腔外科のオペはたいてい起立の状態で行われるが、私の重いギブスの足を乗せるためだけにイスがオペ室に運び込まれた。それだけ周囲に迷惑をかけ、どんだけ立派な手術をするの?と思いきや、もちろん私はアシストのみ。いい経験をさせてもらった。医局でも松葉杖で移動するのが面倒臭くなり、コロのついているイスに片足を乗せて廊下や部屋、トイレの前までスーと移動。そのうち他の先生達から、「キヨサキ(※旧姓)探すならイスを探せ」とまで言われるようになった。

そんなことぐらいじゃ懲りず、ギブスに松葉杖で学会まで出場。会場のスタッフがそんな私を気遣い、舞台の演台にイスを用意してくれた。いざ舞台へ!松葉杖を演台に立て掛け、座った私はその台の中にすっぽり埋もってしまった。イスが低すぎたのだ。紹介され、舞台にあがってから講演するまで、えらいこと時間がかかった気がする。かかりすぎたので、質問時間が短くなった。ラッキーだった♪そんな毎日だったので、案外楽しかった。ここで忘れてはいけないのは、母親の存在だ。結局私は1ヶ月間、病院の通勤は毎朝母に送ってもらった。帰りは通勤路に私の家の近くを通過する先生方に送ってもらった。みんなに迷惑をかけまくって無事骨折期間を乗り越えた。すごい経験をしたなぁ。みんなに感謝だなぁ。

-学会会場前にて-

このコラムについて

※2006年に掲載したドクターズコラムを再編集したものです。
※当時の表現を使用しているため、読みづらい部分があるかと思います。

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