各駅から徒歩1分。お電話ですぐご予約できます!
ただいまの場所:ホーム > ドクターコラム

[開業20周年]
医局日誌
〜Doctor's column〜

Episode 2:土日処置

病棟で、担当患者さんが大きい手術をした時の週末は、当直医が処置(消毒などの)をするのではなく、担当グループの先生方が手分けして出勤して処置をする。
静かな研究室で白衣に着替えて、相棒ドクターと病棟に向かう。こんなときの患者さんはベット上絶対安静であることが多いのでワゴンいっぱいに処置の準備をして病室に入る。たいてい2人ペアーで処置するのでどちらかがアシストにつく。「消毒しますよ、少ししみるかも。」なんていいながら静かに処置が始まる。

普段は何人ものドクターがいる処置室で、次々に来る患者さんを消毒しているので、まるで別世界である。処置が終わると、これまた平日では考えられないくらい静かなナース室でカルテに記録をつける。いいなぁ。私はこんな赤坂のど真ん中で開業しておきながら、こういった静かな環境が好きだ。
もう一つ思うのは「消毒の重要さ」である。結局手術を受けた人は、退院まで毎日手術部位を消毒する。場合によっては一日二回消毒をする患者さんもいる。そしてたいていの場合は確実に治癒していく。途中感染がおこっても、この消毒を繰り返すことでたいていのものは治癒していくのだ。消毒は素晴らしい。

もちろんきちんとした滅菌下で実施するのが必要条件だが。土日の処置が終わると、研究室に戻る。これまた誰もいない。そして今自分が取り組んでいる学会発表の準備をしたりする。調べ事をしたいなぁと思う時は先生方の机が有効な図書館になった。私にはとうてい買えそうにない高そうな本から非常に難解で頭痛がしそうな本までずらっとそろっている。それを心の中で挨拶しこっそり借りたりする。
ポストイットまでつけて返すのを忘れていると、「~~調べるなら~の本がいいんじゃん。」とその本の持ち主が言ってくる。黙って借りて返していない私から、本をとりあげることもなく。怒ることもなく。ある先生は、「本がなくなったらここに来ればそろうんだよな。」とか言ってにやにやしていた。頭が上がらない先生方ばかりだった。そんなことができる土日処置の日が好きだった。

このコラムについて

※2006年に掲載したドクターズコラムを再編集したものです。
※当時の表現を使用しているため、読みづらい部分があるかと思います。

«

»